第21回 子どもの睡眠

今月のテーマは、前回に引き続き<子どもの睡眠>です。

配信年月:2018年6月

先月は睡眠の重要性についてお伝えしましたが、寝つきが良くない、あまり寝たがらないお子さんをお持ちのお母様・お父様にとっては、「そうは言っても、どうしたら子どもは早く寝てくれるの?」とお思いかもしれません。今月は、一般的に言われている子どもの寝つきがよくなる習慣についてお伝えします。

1. 子どもがスムーズに眠りにつくために

①朝の光を必ず浴びる!

脳の松果体というところから、睡眠ホルモンと呼ばれる「メラトニン」が分泌されます。朝目覚めて明るい光を浴びてから14〜16時間たつとメラトニンの分泌が始まります。朝7時に起きれば、ちょうど9時くらいに眠気が始まる計算です。朝日を浴びて体内時計をリセットし、生活リズムを作ります。

②昼はしっかり遊び、お昼寝は早めに切り上げて

睡眠の目的の1つは、心身の疲労回復です。日中活動的に過ごして、心も身体も十分刺激を受けたら、夜も眠りやすくなります。また、午後の遅い時間に昼寝をすると就寝時間が遅くなりがちです。幼稚園に行き始めなどは、14時以降の降園後にお昼寝をしてしまうかもしれません。その場合は、お昼寝を15時半には切り上げる、あるいはお子さんに少し頑張ってもらって、早めの夕食・就寝とした方が良さそうです。

③夕食とお風呂の時間は早めに

食べたものが未消化だったり、お風呂の直後で体温が高いままだったりすると、なかなか寝つけません。食事、お風呂とも就寝の1時間前に終わっていることが理想です。

④おやすみ前のルールと儀式

お子さんと寝る時間を決めることも大事です。「9時には布団に入るよ」というメッセージを伝え続けましょう。歯を磨き、トイレに行って、家族におやすみを言って布団に入る。そこで絵本を1つ読んでもらって…など、それぞれのご家庭で決まった流れを作っていただくと良いと思います。また、寝る1時間前から、少しずつ身体と心を落ち着けていくよう、テレビやスマートフォン、ゲームなどの脳が興奮するものに触れることはやめましょう。

⑤その他

寝る部屋は暗くしましょう。光には睡眠や覚醒をコントロールする働きがあります。また、家族に全く寝る様子がないと(大きな音でテレビを楽しんでいるなど)、子どもも寝たがりません。起きている方が面白そうですから。子どもが寝る時間は一旦テレビを消し、布団で絵本を読んであげるなど、家全体を落ち着いた雰囲気にしてみるのも効果的だと思います。一方、遅くまで仕事を頑張ったお父さんは、帰宅してからお子さんと話をしたり、遊びたい気持ちがおありだと思います。しかし、お子さんがしっかり睡眠を取れるように、寝ているところを起こさないように心掛けてもらえると、明日のお子さんの元気な笑顔に繋がります。

またカフェインの摂取にも気をつけたいものです。カフェインは覚醒作用があり、寝つきを悪くしたり、途中で目が覚めてしまうなど睡眠の質を下げてしまいます。大人のように多量のコーヒーを飲むことはないと思いますが、紅茶、緑茶、ウーロン茶、コーラ、チョコレートなどにもカフェインは含まれています。「少しくらい大丈夫だろう」と与えてしまうかもしれませんが、身体が小さく、神経の発達期にある幼児にとっては負担であり、悪影響を及ぼすものです。

2. それでも寝ない!

大人の中でも、睡眠時間が短くても問題がない人、しっかり寝ないとダメな人がいるように、必要な睡眠時間の長さの違いには、体質がかなり関わっていると言われています。つまり、いくら上記のような環境を整えても、眠りにくい(眠くならない)お子さんもいるということです。昼間に、イライラしやすい場合は睡眠が足りていないのかもしれませんが、そのような不具合がなければ、多少睡眠時間が短くてもよいのかもしれません(なお、昼間に眠そう、集中できない、頭痛のような身体の不調がある場合は、重度の睡眠不足です)。

お子さんが睡眠をしっかり確保できるような環境づくりをある程度し、それでも子どもが寝ない場合は、「この子の体質かもしれない」と思い見守ってみても良いでしょう。寝なくてもイライラせず、お父さん・お母さんがリラックスしていることが、子どもの睡眠を促すかもしれません。なお、お子さんに発達上の偏り(発達障害と言われるような特徴)がある場合、睡眠の問題(睡眠時間が短い、夜中に目を覚ます、そのあと寝つけないなど)も同時に起きやすいと言われています。また、子どもは寝ようとしているのに、苦しそうないびき、寝汗、頻回の寝返りなど、睡眠の質が悪いような場合は、もしかして何か疾患が隠れている可能性もあります。うまく睡眠が取れないような状態が続き、昼間のお子さんの様子にも影響があるようであれば、専門家への相談が必要になってきます。

3.  吃音のまめ知識

吃音のある大人を対象にした調査研究では、自尊心・自己肯定感(自分は大丈夫と思う感覚)や家族からのサポートが、生活の質(quality of life:生活における総合的な満足度)を高めることが示されています。つまり吃音があっても、家族がしっかり話を聞くなど、本人を理解しようと努め、本人も自分は大切な存在だと思えることは、吃音を抱えた大人の生きやすさに影響するということです。おそらく吃音がない人を対象に調査をしても、同じ結果になるのではないかと思います。本メルマガの第9号(2017年6月号)で「褒めることがへこたれない大人を作る」ことを取り上げましたが、吃音があってもなくても、家族も含む周囲の人から認められる(大事にされる)という経験が自己肯定感を強くし、社会で生きる力を育てるのだと思います。

4. 参考図書・資料など

  • 亀井雄一. 岩垂喜貴. 子どもの睡眠. 保健医療科学. 61(1). 11-17. 2012.
  • こそだてハック 子どもが寝ない原因は?寝かしつけにおすすめの方法は? https://192abc.com/55663
  • 今井和子. 0歳児から5歳児 行動の意味とその対応. 小学館. 2016.
  • 子供の体は未熟…カフェインのリスクについて. 妊娠&子育て応援サイト! https://kosodate-march.jp/caffeine-risk58451/
  • Boyle M. P. Relationships between psychosocial factors and quality of life for adults who stutter. American Journal of Speech-Language Pathology, 24, pp.1-12, 2015.