吃音の解説

吃音の解説(幼児・成人)

1.幼児

吃音は2~4歳ごろに発症することが多く、5%ほどのお子さんが一時的に吃音と考えられる状態を経験するといわれます。多くのお子さんは、言語発達の過程において一時的に、ことばの一部や全体を繰り返したり(例:「ぼ、ぼくね」、「ぼく、ぼくね」)、間が空いたり(「・・・・んと、・・・えっと」)といった、滑らかではない話し方(非流暢な話し方)を示します。この全てが「吃音」と判断されるわけではありません。
非流暢な話し方の中には、吃音の症状と判断されやすいものがあります。具体的には、ことばの一部を繰り返す(例:「た、た、た、たまご」)、ことばの一部を引き伸ばす(例:「きーーーのうね」)、(話したいことばは頭に浮かんでいるようなのに)ことばが詰まってしまう(例:「・・・・ッアイス」)といったタイプの非流暢な話し方が、一般にみられるよりも頻繁にみられる場合、吃音があると判断されやすくなります。
また、ことばの一部を繰り返す話し方の場合、1~2回程度の繰り返し(例:「ぼ、ぼくね」や「ぼ、ぼ、ぼくね」)であればよいのですが、3回以上の繰り返し(例:「ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、ぼくね」)が頻繁にみられる場合にも、吃音があると判断されやすくなります。

このような非流暢な話し方が多く、吃音があると判断された子どものうち、7割程度は特別な治療を受けることなく改善するといわれます。
どのような子どもの場合に治療を受けることなく改善するのかといった点については、「女の子の場合、男の子に比べていくらか改善しやすい」、「どもり始めて1年半程度の間に、症状が軽減する傾向がある場合には、その後も改善していく可能性がある」などの知見が過去の研究によって明らかにされてきています。
ただ、これらはあくまで「改善する傾向がある」ということであって、今目の前にいる子どもが治療なく改善するかどうかを正確に予測することはできません。

幼児期の吃音の症状は、ことばの一部を繰り返すことから始まり、徐々に引き伸ばす話し方や詰まる話し方が増えていくことが典型的です。
このような話し方の症状に加えて、ことばが滑らかに出ないときに体に力が入ったり、手足を動かしたりして、もがくような症状が二次的に出てくることもあります。
また、吃音のある幼児の場合、最初は自分の吃音症状について自覚に乏しい状態ですが、大きくなっていくにつれて、また吃音の症状が重症化するにつれて、吃音に対する自覚が芽生え、「吃音に気づいていない → 吃音に気づいているが困っていない → 吃音について困り感がある」といった形で、自覚の程度も進んでいきます。

幼児期の吃音に治療法には様々なものがあります。具体的には、吃音が改善しやすい環境面の配慮を行う方法(環境調整法)や、楽な話し方の練習をする方法、子どもの滑らかな話し方を強化していく方法などが挙げられます。
これらの方法のうちいくつかは、治療を受けた子どもの方が、治療を受けなかった子どもに比べて、一定期間の後に評価した際により流暢な状態にあることを研究によって示されています。
ただ、「いつ治療を始めればよいのか」、「どのような子どもに、どのような治療を行うのが最適なのか」といった点について指針を示したガイドラインが、現時点ではない状態にあります。今回の研究は、このような点を明らかにするために計画、実施されています。